平成29年度特徴的な事例紹介『<地域>と<大学>をつなぐ経験値教育プログラム』

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    取組内容

    園田学園女子大学

    本学は、建学の精神「捨我精進(しやがしょうじん)」にもとづき「地域と共に歩む大学」として、地域に開かれた大学づくりを推進してきた。
    本事業では、地域課題の解決に向けて、「知」の拠点となるべく全学的な教育改革を行う。まず、「地域連携推進機構」を中心に、学内の知的資源を総合的に把握し、研究及び教育の場を調整する。次に、本学の教育コンセプトである循環型の「経験値教育」の実質化をはかる。尼崎市をフィールドに演習科目「つながりプロジェクト」を新設し、地域と共に調査・研究し、提言を行う。さらに、「経験値」を評価するシステムを構築して、多面的に地域課題に向き合う社会に有用な人材の育成を目指す。

    平成29年度特徴的な事例紹介_園田学園女子大学

    平成29年度特徴的な事例紹介_園田学園女子大学(PDF:2.42MB)

    学生・教員インタビュー

    1

    《この方々に伺いました》
    地域連携推進機構 副機構長        大江篤先生
    地域連携推進機構 事務局コーディネーター 榎本匡晃さん
    まちの相談室 担当職員          北恭子さん
    学生                   稗田悠綺さん
                         東華廉さん
                         本田佳寿美さん
                         加久本有里さん 
                         金森雪乃さん


    園田学園女子大学のCOC事業における取組に関して教えてください。

     本学は、建学の精神「捨我精進(しゃがしょうじん)」のもと、「地域と共に歩む大学」として、地域に開かれた大学づくりを推進してきました。
    COC事業においては、多様な地域課題の中で「健康づくり」「学校教育」「生涯学習」「子ども・子育て支援」を中心に地域課題の解決に向けて、「知」の拠点としての役割を強化した全学的な教育改革を行っております。文部科学省からは、専門職養成課程の大学におけるCOC事業のリーディングケースとなることが期待されております。
     具体的な取り組みとして、本学の教育コンセプトである「知識」を「知恵」に変える循環型の「経験値教育」により、多面的に課題に向き合う、社会に有用な人材の育成を目指しています。また、「経験値教育」を実質的なものとするために、人と人とのつながりを可視化することで学生自らが「経験値」を自覚することができる「経験値評価システム」を導入しました。
    また、平成28年度より「つながりプロジェクト」を新設しました。こちらは2年生を対象に学部、学科を横断するPBL型の地域志向必修科目であり、尼崎市の地域課題をテーマとした21のプロジェクトに関して、行政等と協働して調査、研究、提言を行うことを主眼においた内容となっています。
     今年度S評価を頂いた要因としては、この経験値評価システムの導入と、つながりプロジェクトの必修化が大きいと思われます。

    経験値評価システムの特徴について、教えてください。

     学生が行ったボランティアなどの地域活動に関して、学生自身の目的や活動内容、工夫した点などを記入し、それに対して地域のNPOや保育園などの学生の受け入れ先から学生一人一人の活動に対して評価やコメントなどを頂く、というシステムです。例えば、「小さな子どもが一人にならないように気を配っていたのがよかった」といったものや、「積極的にリーダーシップを発揮出来たらいいと思う」などといった具合です。学生の様子をしっかり見て、活動に対する具体的な評価が寄せられるため、学生の意識が変わり、主体性を育むことを期待しています。
     今後の課題としては、レベルの高い評価をして頂ける受け入れ先はまだ少ない、という点が挙げられます。また、多くの教員から、学生は実習を経て知識を知恵に変えることはできても、それを言語化し自分の専門領域に落とし込む、という点が弱いと指摘されています。


    学生へのインタビュー:各プロジェクトを選択した理由、プロジェクトを通じて自分の中の意識が変わったことは、どのようなことがありますか?

    (稗田さん)私は女性の問題に関して興味を持っており、日本は男女共同を掲げてはいてもまだまだ女性に対して厳しい国であるという意識があったため、改善のためどのような取り組みをされているか知りたいと思い選択しました。プロジェクトが終わった後も尼崎女性センター・トレピエにて自主的に女性の問題について調べています。デートDVなどの問題はセンターの女性の職員だからこそ親身に対応することができ、センターが間に立つことで警察の対応もスムーズになることを知ったので、このようなセンターの大切さを知ることが出来ました。
     始める前は女性のことを知れればいい、という思いでしたが、プロジェクトの後では女性を支えていくための方法をより具体的に考えられるようになりました。また男性もデートDVの被害を受けている事例があるということを知り、男性へのフォローも大切であると気づけたのは大きな変化です。自分は教師を目指していますが、生徒からの相談に対して親身になって対応できるようになりたいと思うようになりました。

    (東さん)私はもともと外国に興味がありましたが、出身の淡路島のほうでは外国の人たちと関わる機会がありませんでした。留学生の方と授業を受けたり、台湾の留学生のホストファミリーに参加したりして、日本と外国の生活の違いを知れたのでとても楽しかったです。このプロジェクトがきっかけで短期留学や海外大学との交流会に参加したいと思うようにもなりました。長期では韓国・台湾・インドネシア、短期はニュージーランド、フィジー、オーストラリアの留学生と関わっていますが、他にも英語力を鍛えるため、SNSを利用してヨーロッパなどの方々と交流しています。

    (本田さん)私は尼崎という所に馴染みがなく、尼崎のことを少しでも知りたいと思い選択しました。初めはお店などを回りたい、といった軽い気持ちだったのですが、富松城跡など尼崎にしかないものを知るうちに、過去の時代背景なども知りたいと思うようになりました。また担当の先生に尼崎の歴史の話をお聞きしたことからも興味が深まりました。
     私は児童教育学科に在籍しており、子どもと話すことは得意なのですが、同年代・年上の方と話すのは苦手でした。プロジェクトを通じてお祭りに参加する機会があり、そこで人前で話すことを楽しいと感じることができました。近松人形劇部に所属することになったのもこのプロジェクトがきっかけです。劇の発表はとても達成感があり、学外でも活動したい、と感じるようにもなりました。またプロジェクトを通じて知り合った地域の方から劇の依頼を頂いたこともありました。
     尼崎は明るく活気がある人が多いので、イベントなどを通じて多くの人が繋がりを深めることが出来ればもっと素晴らしいことが出来るのでは、と思います。自分たちからもイベントを提案し地域をつなぐ架け橋のようになれたらと考えています。

    つながりプロジェクトの今後の課題について、教えてください。

     380人の学生に6つまで希望を書いてもらいましたが、最初の年はプログラムに関して情報が少ないまま選択したため、希望通りにならない学生も多く、モチベーションの低い学生のフォローが教員にとって課題となっていました。2年目以降は先輩が後輩にプログラムの内容を伝えることにより、意欲の低い学生は少なくなりましたが、本学は専門職資格系の大学であるため、資格取得に役立てないことを実施する意義を認められない、という意見が学生・教員からも上がりました。
     授業の設計にも課題が多く、学科ごとにスケジュールを合わせることが難しいため、都合のつく学生ごとに何度も実習地を訪れることになったり、また最終の報告会には外部の方にも来て頂くことになるのですが、2年生のまだ専門課程に入っていない学生の発表は「調べてわかった」で終わるものが多く、何か提言を聞きたいという方からは不満が出ていたり、改善策を提示して欲しい等があります。


    学生インタビュー:「つなGirl(学生地域連携推進委員会)」の活動について教えてください。

    (大江先生)つなGirlは<学生>と<地域>を、「つなげる」×「女子」になりたいという想いから生まれた学生主体の活動です。最初に始めた学生が「キャンパスクリエイター事業」という様々な大学の学生を集めて地域活動を行う事業に参加しており、学内でもこういった活動を行いたいと思ったところ、COC事業をきっかけに生まれました。「まちの相談室」で得たボランティア等の情報を発信したり、イベントの企画について打ち合わせを行ったりしています。

    (加久本さん)私は学校と地域のつながりに興味を持ったので、つなGirlに参加して地域の方との関わり方を学びたいと思いました。同じ学年の子や後輩に入ったきっかけを聞くと、やはりボランティアに興味を持っていたということをよく聞きます。

    (金森さん)当時の先輩が大江先生の講義の際に「今までの自分から変わりたい人」「コミュニケーション能力を付けたい人」といった勧誘をしていたことに興味を持ったのが、参加したきっかけです。自分が勧誘する際にアピールするのは、色々な大人の人と関わることができ、つながりや知識が増えるということです。あとは自分たちで企画・運営を行うので、他では付かない能力が身に付きます、とも言います。

    (加久本さん)交流を通じて自分に足りないものを見つけ、もっと頑張らなくては、と思うこともあります。イベントの際に保護者の方や学校の先生といった年上の方とお話しする機会が多いので、学生である今の時点でそのような経験を積むことが出来るのは大きいな、と思います。

    (金森さん)他の学科・学年の人ともつながりが出来るので、他の人の意見を踏まえて考えることが上達したと感じます。

    まちの相談室の活動について教えてください。

     まちの相談室は、学期ごとに学生の空き時間を利用して開室します。地域の方々に来て頂き、ボランティア活動やイベントへの依頼など、学生に参加を依頼したい情報を提供する場として機能しています。学生が関わる活動以外にも、大学との連携や、地域課題の解決などといった相談に関しても、まちの相談室が窓口になって対応しています。またボランティア等の活動を探している学生に対しては、学生へのボランティア情報のファイルや掲示板にて提示したり、経験値評価システムの地域情報ページを更新したりしています。様々な相談が寄せられていますが、学生と「何か」したい、といった目的や具体性の無いものや、単純な人手として学生を求めているといった相談は、結果につながらないことがよくあります。そういった相談も学生の反応次第で受け付けますが、職員がしっかりとサポートしながら対応するよう心がけています。

    今後のCOC事業はどのように展開していく予定ですか?

     研究に関しては、学内共同研究費という学内の予算を担保として、地域志向研究の部門を設ける予定です。教育に関しては、実習に出る前に座学で地域課題に向き合う基礎を身に付けるべきであると考え、「大学の社会貢献」という科目を必修にする予定です。またつながりプロジェクトにて学んだ成果を、どのように各学科の専門領域とつなげていくか検討を重ね、さらに各学科と連携をとっていきたいです。その他としては、大学間連携の強化を考えています。現在は香美町のサテライトスタジオを拠点にて神戸大学と共同調査等を行っておりますが、周辺の他大学とも協力していくことで尼崎中心の事業からエリアを拡大していくことを検討しています。

     

    平成29年度『特徴的な事例』選定基準


    日本学術振興会「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業委員会」による、「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)平成28年度評価」において、【S】評価(計画を超えた取組であり、現行の努力を継続することによって本事業の目的を十分に達成することが期待できる)を受けたCOC採択機関(既に特徴的な事例紹介を実施している機関を除く)より選定し、インタビューを実施しましたので「特徴的な事例」としてご紹介させて頂きました。




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