平成29年度特徴的な事例『ひょうご・地(知)の五国豊穣イニシアティブ』

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    取組内容

    兵庫県立大学

    但馬、丹波、播磨、摂津、淡路の五国からなる兵庫県は、都市地域から多自然地域まで幅広い地域属性を持つことから日本の縮図と呼ばれている。兵庫県立大学は、兵庫県を構成する五国を活動フィールドとして人口減少社会の進行、社会構造の変化、価値観の多様化など各地域が持つ複雑な課題の解決に当たる活動を展開し、地域再生エンジンとしての大学の機能強化を図るとともに、これから地域再生を担う人材育成プログラムを開発し、副専攻として実施している。

    平成29年度特徴的な事例紹介_兵庫県立大学

    平成29年度特徴的な事例紹介_兵庫県立大学(PDF:375KB)

    学生・教員インタビュー

    インタビュー写真

    《この方々に伺いました》
    地域創造機構 特任助教  泉先生
    地域創造機構 特任助教  李先生
    地域創造機構 特任准教授 頭師先生
    看護学部3年        磯口さん 


    兵庫県立大学のCOC事業とは、どのような取り組みなのでしょうか?

     本学のCOC事業では、県内各地域が持つ複雑な課題の解決に取り組むとともに、地域課題の解決に向けて主体的に行動できる人材を育成する教育プログラムの開発を行っています。但馬・丹波・播磨・摂津・淡路の五つの国から成る兵庫県の地域が持つ様々な課題に対応できる人材が、米や麦などの大地の恵みのように兵庫の地と大学で育つ、先導的な取り組みとなるようにと願いを込めて、「ひょうご・地(知)の五国豊穣イニシアティブ」というタイトルをつけました。
     まず、地域住民、企業、地域活動団体等の多様なステークホルダーと連携を図り、地域再生のエンジンとしての役割を担うため、兵庫県と県下11の自治体と連携し、6つのプロジェクトフィールドを設定しました。また、6つのプロジェクトフィールドとの連携体制を構築するため、地域と大学の関係者が一堂に会する「地域COC戦略会議」をプロジェクトフィールド毎に設け、各地域における目標やCOC事業の進め方を決定しています。このように築かれてきた地域とのネットワークを活かした教育プログラムを構築するため、人材育成の二本柱として、地域の課題を具体的な取り組み事例から学ぶ「地域入門科目」と、意欲と能力が高い学生がより深く地域を学ぶ副専攻「五国豊穣プログラム」を平成27年度から導入しました。

    6つのプロジェクトフィールドの特徴を教えてください。

     豊岡市を中心とした但馬地域をフィールドとする地域資源マネジメント系では、市民向けの「コウノトリ・サイエンスカフェ」の定期開催等、コウノトリや恐竜化石を活かした学びの推進や雇用創出、地域活性化に取り組んでいます。県の中部から北部までの中山間地域フィールドとする多自然地域再生系では、養父市大屋町明延地区での鉱山社宅等を活かしたまちづくり等を通して、人口減少と高齢化が著しい多自然地域でのコミュニティ維持方策を模索しています。ものづくりの拠点が集積している姫路市を中心とする産学公連携系では、農商工連携による災害時食支援マニュアルの開発と本学ブランドの日本酒「う米ぜ!」の開発・販売といった、食と健康プロジェクトを展開し、新しい生活産業創生を誘導しています。尼崎市をフィールドとするソーシャルビジネス系では、買い物難民向け宅配サービスの開始といった、「新しい公共」に着目したソーシャルビジネスの振興・育成を図り、課題を解決していく都市モデルを構築しています。あわじ環境未来島構想系では、竹の燃料利用による竹林適正管理等の取り組み等を通じて、自然豊かな淡路島特有の生活と景観資源等の保全や活用に向けた地域活性化方策を構築しています。地域防災・減災系では、神戸市垂水区や南あわじ市を主な拠点とし、巨大地震等災害リスクの高い地域における住民主体の防災・減災のため、防災キャンプや防潮壁画再生プロジェクトの実施等、地域コミュニティづくりに向けた活動を推進しています。
     6つのプロジェクトフィールドの中には、COC事業が始まる前からあった地域とのつながりがCOC事業をきっかけにさらに深まったところもあれば、COC事業をきっかけに新たに関係性を築いてきたところもあります。前者の事例としては、独立大学院を拠点とする地域資源マネジメント系(地域資源マネジメント研究科)及びあわじ環境未来島構想系(緑環境景観マネジメント研究科)、付置研究所の先端食科学研究センターを拠点とする産学公連携系があげられます。後者の事例としては、多自然地域再生系とソーシャルビジネス系があげられます。


    新たに開拓したというソーシャルビジネス系はどのように地域との連携を図りながら進められてきましたか?

     尼崎市は早くから経済成長を達成した反面、現在は様々な都市課題を抱えており、「新しい公共」と呼ばれるソーシャルビジネス等の振興・育成を図りながら課題解決を図ることが求められていました。そのため、COC事業の企画の段階で、地域創造機構を中心とする大学本部側から経営学部で中小企業論を担当されていた先生に協力のお願いをしました。その先生が中心となって経営学部の他の先生方に声をかけ、各先生のゼミの3年生を母体としたフィールドワーク調査が始まりました。ソーシャルビジネス系では、「地域COC戦略会議」とは別に実務者レベルの連絡会議を設け、尼崎市、兵庫県阪神南県民センター、尼崎地域産業活性化機構(当時)、尼崎商工会議所の職員との連携を深めつつ、ゼミの学生が1年間を通じて何度も尼崎市内の商店街や中小企業などに入って調査、プロジェクトの企画・実行・修正を重ねながら活動できる環境を整えてきました。平成25年度に地域課題を発掘するためのアンケート調査を始め、これまで市内の買い物弱者に対する調査や地域密着型スーパーのCSR・CSVの取り組みに対する調査、市内商店街の活性化などのテーマをゼミの先輩から後輩へと引き継ぎながら深堀し、具体的な成果につなげてきました。

    教育プログラム「五国豊穣プログラム」と「ひょうご学志」とはどういったものですか?

    「五国豊穣プログラム」とは、地域入門科目を受講して地域に興味を持った学生がより深く地域を学ぶための副専攻です。副専攻は、必修のコア科目と各学部の専門科目から指定された発展科目に分かれています。
     コア科目の一つ目は、全学部の1年生を対象に前期に開講する「COC概論」です。平成28年度は502名の学生が履修しました。各プロジェクトフィールドで課題解決に取り組んでいる教員とステークホルダーの方をペアで講師として招いて現場の生の声を聞くオムニバス形式の授業です。この授業で兵庫県の六つのプロジェクトフィールドの地域課題と取り組みの事例を一通り紹介しています。 
     二つ目は、「COC概論」を受講した学生の中から副専攻の履修を希望する学生を30名募集し、1年の後期に開講する「COCフィールドワーク基礎演習」です。この科目は、実際に地域に入るための準備をする授業として位置づけ、地域と人の営みを深く知るために有効な調査法であるフィールドワークの意義や基礎的な資料収集の方法、現地調査の手法、結果分析、報告までの一連のプロセスを学びます。
    三つ目は、「COCフィールドワーク基礎演習」を受講した2年から4年生の副専攻生を対象に開講する「地域課題実践演習」です。副専攻生は、「COC概論」を受講して興味を持ったプロジェクトフィールドを二つ選んで受講します。
     これらのコア科目と各学部の専門科目から指定されている発展科目を合わせて合計20単位以上履修することで、卒業時に「ひょうご学志」の称号と修了認定証が授与されます。「ひょうご学志」を取得することで、地域と協働しながらリーダーとして活躍するために必要な能力である、「基礎的コミュニケーション能力」、「複雑な地域課題を分析する能力」、「現場に応じた調査設計能力」、「異なる分野で協働する能力」、「ステークホルダーと事業を進めるマネジメント能力」を身につけた証明となり、就職活動でアピールすることができます。


    副専攻とはどのような取組みでしょうか?

    学生が自分の主専攻以外に、もう少し自分の引き出しを増やしてみたい、もしくは学生のうちに他の分野も経験してみたいと思った場合に選択できる、大学が意欲のある学生のために提供できるオプションだと考えております。海外では既に導入されている大学も多いのですが、兵庫県立大学ではCOC事業をきっかけに平成27年度に「五国豊穣プログラム」が初の副専攻として導入されました。平成29年度からは、新たに「グローバルリーダー教育プログラム」、「防災教育ユニット」が副専攻として導入されました。

    情報発信を積極的にされているように見受けられますが、どのように取り組まれていますか?

    本学には広報室がありませんので、全て各プロジェクトフィールドの教職員が行っています。意欲的に情報発信に取り組まれている先生も多く、ホームページの最新活動報告の更新から年度ごとに作成している各種報告書の執筆まで幅広く協力していただいています。一方で、人手が足りないプロジェクトフィールドはCOC事業担当の特任助教3人がフォローしています。また、COC事業全般を紹介する広報物については、COC事業推進本部のコアメンバーを交えた会議が月に二回程度あるので、その際に各プロジェクトフィールドで行われている活動の内容を共有し、どのように情報発信していくか話し合うようにしています。

    学生インタビュー:ひょうご学志を取得しようと思ったきっかけと感想を教えてください。

    (樋口さん)私は兵庫県の淡路島出身なのですが、地元のことをもっと知りたいと思い、「五国豊穣プログラム」と特別教育プログラム「コミュニティ・プランナープログラム」を受講しました。このプログラムでは、他学部の学生とグループになったり、オムニバス形式で他学部の先生の授業を受けたりすることができます。1年生の前期に行われた「COC概論」では、仲の良い友達同士で受講していましたが、後期に行われた「COCフィールドワーク基礎演習」では、少人数制のグループワークを行うので、それをきっかけに他学部の学生とも仲良くなりました。多様な考えを持つ学生から刺激を受けるので、とても面白いなと感じています。また、しっかり座学で基礎を学んでから実践演習に移るので、実際に地域に入ってからも、スムーズに理解することができました。このプログラムを通して、幅広く物事を捉える力が身についたと感じています。

    S評価に至った要因についてはどのように考えられていますか?

    一つは、COC事業の成果を活かした人材育成教育プログラム「五国豊穣プログラム」を副専攻として導入したことだと思います。本学初の副専攻の導入ということで学内でも副専攻のあり方や他の教育プログラムとの差別化などについて活発な議論が行われたことがカリキュラムの確立につながったと考えています。もう一つは、副学長、副理事長、プロジェクトリーダー、地域連携教育研究センター長、事務局長など、COC事業推進にかかわるコアメンバーが情報を共有する場が多く、事業推進に関する様々な事項を迅速に決定できるマネジメント体制が構築されていることだと思います。また、学外においても、「地域COC戦略会議」など地域の方々を交えて地域の課題とは何かを一緒に考え、共有する会議が、多い時は年間十数回に渡って行われており、地域との連携を強めることができたと感じています。

    今後の事業展開について教えてください。

    COC事業終了後の副専攻「五国豊穣プログラム」ですが、本学の他の教育プログラムのうち、同じ地域志向教育の行っているプログラムと統合し、より体系的で充実した新プログラムを提供できるよう、平成30年度開講に向けて調整を進めています。

    平成29年度『特徴的な事例』選定基準


    日本学術振興会「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業委員会」による、「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)平成28年度評価」において、【S】評価(計画を超えた取組であり、現行の努力を継続することによって本事業の目的を十分に達成することが期待できる)を受けたCOC採択機関(既に特徴的な事例紹介を実施している機関を除く)より選定し、インタビューを実施しましたので「特徴的な事例」としてご紹介させて頂きました。




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