平成29年度特徴的な事例紹介『クリエイティブ・コミュニティ創成拠点・千葉大学』

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    取組内容

    千葉大学

    本事業は、地域課題が山積している大都市郊外の住宅地コミュニティを対象とし、そこにある大学として、自治体(千葉県、千葉市、松戸市、柏市、野田市)との強い連携の下、全学をあげて地域志向の教育・研究と社会貢献に向け様々な地域課題、社会問題に、総合的・包括的に取り組む拠点づくりを目的としています。
    これらの取組を推進するためにコミュニティ再生・ケアセンターを設置しました。また、重点的に取り組むモデル地区には、廃校となった小学校の一部を千葉市から借り受け、サテライトキャンパスを新設し、公開講座や地域で活動する団体等と連携により地域課題に向けた取組を推進します。

    平成29年度特徴的な事例紹介_千葉大学

    平成29年度特徴的な事例紹介_千葉大学(PDF:2.11MB)

    学生・教員インタビュー

    学生

    《この方々に伺いました》
    コミュニティ再生・ケア部門長/工学研究院教授       上野武先生
    コミュニティ・イノベーションオフィス/国際教養学部准教授 鈴木雅之先生
    法政経学部法政経学科4年生                田畑凛子さん
    工学部メディカルシステム工学科4年生           根本卓也さん


    コミュニティ再生ケア学とは、どのような教育プログラムでしょうか?

     コミュニティ再生ケア学(以下、再生ケア学)は、地域の再生を社会の重要課題として意識し、地域サービスに関わる多種多様な専門能力を有する人材を教育・育成することを目的として、全学部の学生を対象に開講しました。平成25年度〜平成26年度にかけて準備を行い、平成27年度新入生より受講を開始しました。地域と地域再生の基礎・理論を学ぶ普遍教育科目(主に1〜2年生が受講、55科目)と、地域に生かされる知識・スキルを専門的に学ぶ専門教育科目(29科目)の二つに大別され、特に専門教育科目では、それぞれの学部の専門性に応じた、地域に関する科目を用意しています。在学中の4年間で、再生ケア学で定められた単位数(23単位)を履修した学生には、「地域づくり」「コミュニティづくり」について一貫して習得した証明として、履修証明書を発行しています。平成28年度時点で履修証明書取得見込みの学生は5名いますが、まだ卒業生は輩出されていないので、今後卒業生が社会で活躍することにより、本プログラムの学問ブランドが醸成されていくことを期待しています。また、本取組については、ベネッセ、河合塾が平成28年度夏に発行した高校教諭向け雑誌に掲載され、学外からも高い評価を受けています。
     学生への周知については、再生ケア学の履修の手引きを毎年度発行し、全学生に配布している他、前期・後期の履修登録期間に履修ガイダンスと履修相談会を行っています。また、履修登録をした学生には、就職先や進路についての情報発信をメールで行ったり、学生同士の交流会を開催したり等、手厚いサポート体制を取っています。

    「サテライトキャンパス」を開校しておりますが、どのように活用しているのでしょうか?

     サテライトキャンパス(以下サテキャン)は、千葉市郊外の巨大ニュータウンにある廃校となった小学校の一部を借り受けて平成26年10月より活用を開始しており、地域コミュニティの中に拠点を置くことで、千葉大学が持つ教育・研究のポテンシャルを地域課題解決のために活用すると共に、アクティブラーニング型の学修の場、地域住民の生涯学習の場とすることを目的として設置しました。人口減少による小中学校の廃校が加速する中、廃校活用のモデルとするべく、千葉大学の地(知)の拠点のシンボルとして位置付けています。
     具体的な活用としては、地域住民と学生が共に学ぶ正課科目「カレッジリンク・プログラム」の実施、地域住民向けの公開講座の実施、地域と協働してイベントを開催したりと様々な形で利用しており、平成29年8月までの延べ利用者数は学内外を合わせて約3200人にのぼります。
     サテキャンの運営についてはステークホルダーからの支援をいただいており、千葉市からは廃校小学校の貸与と賃料の半分を千葉市に負担していただいている他、教室に設置している什器はUR都市機構から寄附をいただいています。


    地域志向型教育研究の展開について、地域課題の分析はどのように行っているのでしょうか?

     千葉市郊外には、高度経済成長期に巨大ニュータウンが建設されましたが、住民の高齢化や人口減少等、様々な問題が顕在化しています。千葉大学では、それらの課題にスポットを当てて、課題に関するキーワードを「超高齢化領域」「住宅・コミュニティ領域」「人権・男女共同参画領域」「基盤・空間領域」の4つの領域に分類・プロット化し、学内の多様な学部・専門分野を持つ教員が郊外コミュニティの抱える課題に対して何らかの関わりが持てるように表現を工夫しております。また、特定の分野に特定の教員だけが関わるのではなく、これまで地域に関わったことが無い教員も地域に関わる機会が得られるよう、学部やグループを超えた学際的なアプローチを重視し、全学をあげて課題を解決することを目指しています。

    COC事業の中間評価において、S評価を受けるに至った要因はどのように考えていますか?

     千葉大学では、COC事業の全体マネジメントを行う組織として「コミュニティ・イノベーションオフィス」を設置していますが、そこにキャンパス・マスタープランや施設整備等を担う全学組織に所属する教員2名を部門長として配置しています。2名の教員は長年にわたり学内ガバナンスをサポートしており、各学部との協力体制や部教員とのネットワークを築いたノウハウをコミュニティ・イノベーションオフィスに落とし込んだことで、学内の協力を得ることができ、全学を挙げてCOC事業を推進出来たことが実績に繋がったと考えています。


    今後の事業展開についてお聞かせください。

     千葉大学では、COC事業の他、平成27年度にCOC+事業に採択され(事業名:都市と世界をつなぐ千葉地方圏の“しごと”づくり人材育成事業)、それぞれ並行して事業を推進しています。COC+事業ではこれまでCOC事業で培ったノウハウを一部活用しており、再生ケア学のノウハウを活かして、地方の産業振興のプロフェッショナル及び地方創生のスペシャリストを養成する教育プログラム「地域産業イノベーション学」を開始しました。他にも、サテキャンのノウハウを活かして横芝光町、いすみ市、勝浦市にハブオフィスを設置し、地方と大学を繋ぐ地の拠点となっています。また、COC事業では主に千葉都市圏を事業対象地としていますが、COC+事業では若者人口の減少が進む千葉の地方圏を事業対象地としており、今後はCOC事業をCOC+事業へ接続することにより千葉県全域の課題解決を図る事業へ展開していく予定です。

    学生インタビュー:コミュニティ再生ケア学を履修しようと思った動機はなんですか?

    (田畑さん)防災関連の授業に興味を持ち、1年生の時に受講した「減災福祉コミュニティ入門」が再生ケア学の指定科目だったことが最初のきっかけでした。減災について学ぶ中で、地域コミュニティの重要性や地域での繋がりの重要性に興味を持ったことや、自分が住んでいる場所の地域住民とのコミュニケーションがとても少なかったことに危機感を感じたので、地域コミュニティについて学びたいと思って受講しました。

    (根本さん)もともと地域医療について興味があったのですが、地域に入って行くために何をすればいいのか、どのような課題があるのかといった知識がありませんでした。再生ケア学ではそういったことを段階的に学ぶことができ、知識を修得した上で地域での実習が行えるというプログラムであることをパンフレットとガイダンスで知り、受講しました。

    学生インタビュー:コミュニティ再生ケア学では、どのような科目を受講しましたか?

    (田畑さん)最初は防災に興味があったこともあり、減災コミュニティに関する科目を受講しました。その後、高齢化社会と地域コミュニティの再生について考える授業や、「千葉の地域を知る」という科目で千葉の地方部について学び、「地域NPO活動体験」という50時間ある体験授業にも参加しました。私はグループワークが苦手だったのですが、再生ケア学の授業を受けたことで議論をする力やコミュニケーションに関するスキルアップにも繋がりました。

    (根本さん)一番印象に残っているのは「NPO活動体験」の授業です。柏市で認知症予防に取り組んでいる先生の下、自分達で一つイベントを実施する、というもので、自分自身のスキルアップに繋がりました。また、再生ケア学の指定科目の中にあった看護学部の授業を受講し、もともと興味があった医療の分野に所属する学生や先生とディスカッションやグループワークが出来たのは貴重な機会だったと感じています。

    学生インタビュー:コミュニティ再生ケア学のプログラムを修了して、将来のビジョンや自分自身の考えに何か変化はありましたか?

    (田畑さん)最初は就職活動に活かせればいいかな、くらいの気持ちで考えていましたが、地域について学びを深めていくにつれて地域に携わりたいという気持ちが強くなり、今は地域団体の活動支援が出来る仕事がしたいと考えています。

    (根本さん)私は工学部に所属していて、医療機器といえばMRIやCT等の大型機器が花形と言われているのですが、地域に入って学ぶに連れて「地域でそれらの医療機器が果たしてどれだけ活用できるのか」「もっと他にやるべきことがあるんじゃないか」と考えるきっかけになりました。卒業研究では「地域の介護をいかに支援していくか」というテーマで取り組んでいて、再生ケア学で学んだスキルは確実に活かされていて、今後もそのスキルを披露することが出来れば良いなと考えているところです。

    これからコミュニティ再生ケア学の履修を目指す学生さんに何かアドバイスはありますか?

    (田畑さん)地域について基本的な部分を学ぶことができるし、NPO体験学習やカレッジリンク等の実習を通じて地域の現状を生で聞いて知ることが出来ることはかけがえのない経験になると思います。グループワークも多くて大変ですが、コミュニケーション能力が磨かれるので、きっと就職活動でも役に立つと思います!

    (根本さん)工学部中心の視点にはなりますが、モノを作って売っていくにあたって、どういったものが地域で必要とされているかを知る機会が得られるので、着実に今後の開発等に活かすことが出来ると思います。また、再生ケア学は体系的に23単位を取得するので、ばらばらと単位を取るよりは一つの大きな学んだ証を作れるので、メリットは大きいです!

    平成29年度『特徴的な事例』選定基準


    日本学術振興会「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業委員会」による、「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)平成28年度評価」において、【S】評価(計画を超えた取組であり、現行の努力を継続することによって本事業の目的を十分に達成することが期待できる)を受けたCOC採択機関(既に特徴的な事例紹介を実施している機関を除く)より選定し、インタビューを実施しましたので「特徴的な事例」としてご紹介させて頂きました。




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